英国の児童精神医学卒後研修について

イギリスにおける児童精神科専門医の見学研修報告

 

北海道こども心療内科氏家医院  氏家 武

 

はじめに

 イギリスにおける精神医学の歴史は古く、最古の精神病院は1247年に建てられたベスレム王立病院(Bethlem Royal Hospital)であると言われている。この病院と、後に建てられたモズレー病院(Maudsley Hospital)の二つを付属病院とする、ヨーロッパで最大の精神医学専門の研究機関であるロンドン大学精神医学研究所(Institute of Psychiatry, University of London, IOPと略す)はロンドン市内の南西部に位置している。この精神医学研究所はさまざまな精神疾患の疫学調査や病因研究など幅広い医学研究の拠点となっているだけではなく、精神科医療に携わる医師や心理士などの専門的な教育を長年にわたって行ってきている。この専門教育の中には、児童青年精神医学がまだ十分に発展していない国々の医師や心理士を対象にした研修コースも設置されている。

一方、わが国では児童精神医学の卒後教育システムは未だ確立されておらず、こどものこころを診療する専門医は極めて少ないのが現状である。そのような中、私は昭和62年にIOPで行われている海外医師向けの児童精神医学の卒後研修コース(Postgraduate Diploma in Child and Adolescent Psychiatry, 以下PgDipと略す)を受けた。その時の様子については同コースに一緒に在籍した井上登生氏が発表しているが、その研修を受けることで私は児童青年精神医学に関する理論と実践について実にさまざまなことを学ぶことができた。帰国後、私はそこで学んだ多職種によるチーム医療を取り入れて児童青年精神科臨床を実践してきており、5年前には多職種チーム医療による地域児童青年精神科の診療所を開設した。

今回、私は17年振りにIOPを訪れる機会を与えられ、イギリスにおける児童青年精神医学卒後研修のあり方、児童青年精神科臨床の実際、児童精神科と小児科の連携のあり方を学ぶことができた。この訪問では私は約1ヵ月の間、このPgDipに在籍することが許された。そこで、このコースの最新の情報を紹介するとともに、2000年(平成12年)から新設された児童精神医学に関する研究を学ぶマスターコース(Master of Science in Child and Adolescent Mental Health, 以下MSと略す)に関する情報、並びにイギリスにおける最近の小児科と児童精神科の連携状況に関する若干の知見を併せて報告する。それによって、わが国における児童青年精神医学を専門とすることを望む若い小児科医、精神科医に少しでも役立つことを願うものである。

 

イギリスにおける児童精神医学卒後研修の教育システム

イギリスで児童精神科医の資格 (Consultant Child Psychiatrist) を取得するためには、先ず精神科医(Membership of the Royal College of Psychiatrists; MRCPsych)の資格を取得しなければならない。小児科出身でも児童精神科医になるためには、必ず精神科医の資格を取る必要がある。The Royal College of Psychiatrists とは日本の精神神経学会に相当するようなもので、イギリスにはこれに匹敵・競合するような学会は他にはなく、この学会の会員(MRCPsych)の資格を持っていなければ精神科医としてイギリス国内で働くことができない。イギリスでは非常に権威のある学会による専門医認定制度がきっちりと根付いているのである。

 MRCPsychの資格を取得するには、医学部(日本と同じ6年教育)を卒業した後、学会が認定する病院で一般成人精神医学を12ヶ月、あるいは一般成人精神医学と老年精神医学のそれぞれを6ヶ月ずつ研修した者がまずパート1の試験を受けることができる。それに合格すると、次には一般成人精神科病院で最低12ヶ月、さらに児童・青年期精神医学、司法精神医学、老年精神医学、精神療法、アルコール薬物等の各専門領域の病棟において合計18ヶ月間の研修(ただし、一つの専門領域は6ヶ月以上12ヶ月以内で選択する)を受けてからパート2の試験を受けることになる。試験はマルチプルチョイス、患者の診察試験、小論文、筆記試験、面接試験があり、内容は常に最新の論文やトピックに関する知識と理解が要求される。パート1、パート2とも合格率は40%程度で、現実的にMRCPsychの資格を取得するまでに通常6~7年を要すると言われている。

ここからさらにConsultant Child Psychiatristとして認められるためには、The Royal College of Psychiatristsが認める児童青年精神医学病院で3年間のトレーニングを受ける必要がある。そして最後に同様の試験を受けてそれに合格するとConsultant Child Psychiatristとして認定される。このように、イギリスで児童青年精神医学の専門医の資格を取るためには最低9年位を要することになるのである。現在、イギリス国内にはConsultant Child Psychiatristの資格を持つ児童精神科医は100~200人程度と言われる。

 

Postgraduate Diploma in Child and Adolescent Psychiatry について

この児童青年精神医学卒後研修プログラムは精神医学研究所児童青年精神医学部門によって行われる一年間のフルタイムコースである。1987年に始まり今年で17年目を迎えるが、この間にこのコースの卒業生は80名を超えている。

このコースの目的は、児童精神医学または精神医学的サービスの訓練が十分受けられない国の精神科医、臨床心理士、小児科医に対し、児童青年期の精神保健と精神障害に関する医学的技術と知識を習得させることである。また、児童精神保健と児童青年精神医療に関するさまざまなサービスを計画し実行できるようになること、それに関連した調査研究を計画して実行できるようになることも目的に含まれている。

研修プログラムは臨床技術、問題の評価方法と治療の臨床技法、及び子どもの精神保健に関するサービスを計画することを学ぶことに重点を置いている。また、コミュニケーション技術を学ぶことは、精神保健に従事する者を育成するために特に必要なものであるため重要視されている。研修プログラムの実際の内容を表1にまとめてあるが、プログラムは主に4つの柱から組み立てられている。それらは、児童青年精神医学・児童青年発達心理学・児童青年精神保健に関する講義、それらに関する論文の抄読会、病院・診療所での臨床実習、関連施設への訪問である。これらのプログラムの週間予定を表2に示す。

このような形で児童青年精神医学の卒後研修が進んでいくが、学生の評価はセミナー期間中継続的に行われ、講義や実習への参加態度や臨床技術が評価されることになっている。第1期の終わりには臨床論文の提出が求められ、それも評価の対象となる。3学期末には論文審査と3時間の学科試験が行われる。これらの評価によって認められた者だけがDiplomaの資格を得ることができるのである。

このコースに入学するにはキャリアと英語の語学力に関する条件がある。入学のために必要なキャリアは、児童青年精神医学の卒後研修を含めた基礎医学の資格を取得しているか、心理学、小児医学または臨床心理学の同等資格を持っていることに加え、最低2年以上の一般精神医学及び/または小児科の臨床経験を有することである。さらに、児童期及び/または青年期の分野での臨床経験を幾らかでも有していることが望ましいとされている。また、英語能力についてはキングス大学の英語検定資格はB級以上、海外留学生のためのキングス大学の夏期英語検定資格ではB+ Band以上、IELTSでは7.0以上、TOEFLpaper-based)では600以上、TOEFLcomputer-based)では250以上のスコアが必要であるとされている。

入学の申し込みは毎年3月までに指定の出願書類を提出し、書類選考が行われる。コースは毎年9月から始まり、翌年の9月に終了する。また、入学受入れ人数は毎年10人までとなっており、一年間の授業料はイギリス国内学生は2200£、海外留学生は7875£(2004年)である。

 

Master of Science in Child and Adolescent Mental Health について

この教育プログラムは2004年に新設されたもので、上記のPgDipと同様精神医学研究所児童青年精神医学部門によって行われている。

このコースの目的は児童精神医学(リサーチの研修を含む)の研修が制限されている国の精神科医、小児科医及び心理学者で相当の経験を有するものを対象とし、一年間でMSc(Master)の資格を取得するものである。その内容は最近の率先的な研究を含めて、子どもの精神心理学的発達と児童青年精神医学に関する幅広い知識を獲得することが狙いである。実際には、児童青年期における情緒障害、行動障害、発達障害などに対する心理治療や身体的治療に関する調査研究について学び、実際の調査方法と統計、診断、評価、そして治療的介入方法について計画する技術を学ぶものである。また、児童青年精神保健サービスの監視や評価など、医療サービスを計画することに関わることも併せて学ぶ。

研修プログラムは調査研究と評価と治療に関する技術を教えること、子どもの精神保健サービスに関する計画に重点が置かれている。また、上記のPgDipと同様精神保健に関わるその他の職種とのコミュニケーションやトレーニング技術を学ぶこともプログラムに含まれている。研修プログラムの実際の内容を簡単に表3にまとめたが、その特徴は上記のPgDipに比べると臨床実習と施設訪問などの時間は少なく、その代わりに実際の調査研究に関する講義や実習が非常に多いことである。また、このコース在学中に自分で一つの調査研究をデザインし、実際にその調査研究を行ってその結果を論文としてまとめるという作業を行うことになっている。

在籍中の学生の評価はPgDipとほぼ同じであるが、第1期の終わりには特定の調査研究に関するレビュー論文の提出、第2期の終わりには臨床エッセイの提出が求められそれも評価される。また、第3期には学科試験に加えて、自分で計画立案した調査研究論文の提出が必要である。これらの評価によって認められた者だけがMSの資格を得ることができる。このコースに入学できる条件は、一般の精神医学(臨床心理学または小児医学)の卒後研修の資格取得と3年以上の精神保健あるいは小児科での臨床経験を持つことと規定されている。英語の語学力に関してはPgDipとまったく同じである。入学の申し込みは毎年3月までに指定の出願書類を提出し、書類選考が行われる。入学受入れ人数は毎年10人までとなっており、一年間の授業料はPgDipよりも高く、イギリス国内学生は4500£、海外留学生は12000£(2004年)である。

 

The Belgrave Department of Child & Family Psychiatryについて

私は一ヶ月のイギリス滞在中に、ロンドン大学精神医学研究所以外にもKing’s大学病院のThe Belgrave Department of Child & Family Psychiatry St Thomas病院小児科のDepartment of Child & Family Psychiatryを訪問した。その目的は、イギリスの総合病院での小児科と児童精神科の連携状況を視察するためである。ここではその一つであるThe Belgrave Department of Child & Family Psychiatryについて簡単に紹介する。

King’s大学病院はロンドン大学精神医学研究所の真向かいにあり、イギリス国内有数の大きな近代的なビル群からなる総合病院である。その中でも比較的落ち着いた雰囲気の建物が Belgrave と呼ばれる小児病棟であり、児童精神科を診療する外来部門はDepartment of Child & Family Psychiatryという名称であった。この部門はKing’s大学病院で診療を受けている子ども(入院児も含む)と家族と、King’s大学病院があるロンドン南東部地区の子どもと家族の精神保健に関する診療を行っている。また、ロンドン近郊の特定の地域からはGeneral Practitioner(家庭医)からの紹介も受け入れている。18歳未満の児童・青年期の患者を対象にしており、16歳未満の児童は家族同伴の受診を原則としている。

この部門には児童精神科医、臨床心理士、精神療法士、作業療法士、精神科専門看護婦など多彩なスタッフがおり、児童精神科医を中心にして多面的な診療を行っている。児童精神科医は他のスタッフと一緒に外来診療を行ったり、小児科医の依頼で入院中の患者の往診を行っている。実際に診療の対象となっているのは、外からの依頼では自閉症やADHDのような発達障害と行動障害が多く、King’s大学病院の小児科医からの依頼では入院中の転換性障害や身体化障害が多くみられた。また、週に2回スタッフミーティングが開かれており、新患に関する情報交換と今後の対応についての検討が行われたり、治療中の症例に関する検討がなされている。

St. Thomas病院の小児科にもDepartment of Child & Family Psychiatryがあり、イギリスでは総合病院の小児やこども病院にはこのようなDepartment of Child & Family Psychiatryが必ず設置されているようである。このように、イギリスでは小児科に児童精神科が入り込むような体制で二つの診療科の連携がスムーズに行われているようである。

 

おわりに

私は医学生の頃から漠然と児童精神医学の臨床に強い興味を抱いていた。しかし、医学部を卒業してから最初の2年間は先ず小児科で卒後研修を受けた。人のこころを診るにしても、身体と精神とをトータルに診ることが出来るようになりたいと思ったからである。そして、実際の小児科での2年間の研修は、想像以上に私にとって本当に貴重な体験となった。すなわち、小児科ではこどもの命の尊さを学び、我が子の健康を願う親の気持ちを知ることができた。また、医師としての自分の未熟さを痛感し、責任の重さを自覚させられ、同時に、自分が目指したい医師としてのあり方や自分の進むべき道についても多くの示唆を得ることができたのである。

私はその後3年間児童精神医学の研修を受ける目的で、東海大学病院精神科にレジデントとして勤務した。そこでの3年間もまた、私にとっては第二の原点とも言える貴重な体験を積む場となった。当時そこには全国各地から自分と同じように児童精神科医を目指す若い医師が集まっていたので、仕事の面ではお互い切磋琢磨し合いながらも、信頼と友情の関係を築くことができた数名の先生たちとの出会いはすばらしいものであった。しかし、当時はまだ児童精神医学に関しては卒後研修と言えるような系統だったものはほとんどなく、研修医として出会うこどもたちから直接学ぶことしかできなかった。

その後、私は再び小児科医に戻って今度は児童精神医学を研修した医師として、一人で専門外来と入院治療を任されることになった。そして実際臨床を始めてみると、小児科には極めて多彩な児童精神医学的問題を抱えるこどもと家族が受診した。しかし、児童精神医学を系統的に学んだ経験がなく、指導医もいない状況では直ぐに限界を感じることになった。私は自分がこのままではいけないと思い、日本では受けられない本格的な児童精神医学の研修をイギリスで学ぶことに決めた。そして当時IOPの児童精神医学部門のラター教授に手紙を送ったところ、幸運にもちょうどPgDipのコースが始まることを知らされ、参加することを勧められたのである。このような経緯で私は貴重な2年間をロンドンで過ごすことができたのである。

今回のIOP訪問では三人の日本人に巡り合うことができた。PgDipには順天堂大学医学部を卒業した小児科医の内藤亜由美氏が、MSには徳島大学医学部を卒業した小児科医の森享子氏が在籍していた。PgDipMSの学生は合同で講義を受けることが多いため私は二人に会う機会が多く、これらのコースに関する具体的なことを色々と教えていただいた。また、二人ともスタートラインは私と同じ小児科医であり、若い時に海外留学に飛び出してきた意志を共有することができた。もう一人はDepartment of Forensic Psychiatryで研修を受けていた精神科医の太田充子氏で、旧知ということもあり、三人の日本人に支えられて有意義なIOP訪問研修を体験することができた。

今年のPgDipには日本人の他にギリシャ人2名、スペイン人1名、イラク人1名、UAE人1名、イラン人1名、合計8名の学生が在籍している。過去には日本人の他、スペイン、ギリシャ、インド、コロンビア、ブラジル、マレーシアなどからの留学生が多く、イランやイラク、サウジアラビアなどの西南アジアやケニア、南アフリカなどアフリカから留学生が参加していた年もあり、PgDipはその目的通り世界中に児童青年精神医学の基礎を作り上げていると言っても過言ではない。コースの授業内容の組み立ては児童青年精神医学と発達心理学に関する講義、論文抄読、臨床実習、関連施設訪問という枠組みで、これらは17年前とほとんど変わっていなかった。しかし、講義を行う講師は大きく様変わりしており、抄読すべき論文にも目新しいものが多数含まれていた。また、ロンドン市内の精神保健医療福祉政策に大きな転換があり、IOPとの関連施設にも様変わりが見られた。さらに、17年前のこのコースの受講生はほとんどが医師であったが、現在は臨床心理士の参加が増えて、ほぼ同数の割合になっていた。この現象は、世界的な規模で児童青年精神科医に加えて、児童青年精神保健に専門に携わる臨床心理士のニーズが高まりを表すものと思われた。

MSには日本、台湾、インド、パキスタン、ルーマニア、ギリシャ(3名)、サウジアラビアから合計9名が参加していた。このコースの印象はPgDipに比べるとリサーチに関するプログラムが多く、児童精神保健に関する臨床よりも調査研究を行うことに主眼が置かれている。また、研修の評価がかなり厳しく、MSの資格を獲得するのは難しようであるが、MS取得後にはかなりしっかりとしたリサーチワークをオーガナイズできるようになるだろうと思われる。

IOOPには大きな図書館が併設されているが、これは世界で2番目に精神・心理関係の蔵書が多い図書館である。児童精神保健に関する論文や書物も古いものから最新までの世界中の文献を簡単に手に入れることができ、これもIOPの大きな魅力の一つである。図書館には現在多数のコンピューターが設置されていて、学生は自由にコンピューターを利用することができ、もちろんインターネットの利用も無料である。文献検索方法・統計ソフトの使用なども含め、様々なコンピューターソフトの実践講義も希望に応じ無料で受けられ、また専門家による個人サポートも充実している。私が留学した17年前は海外とのやり取りは手紙(もちろん、電話とファックスもあった)が主流の時代であった。しかし、この17年の間にパーソナルコンピューターとインターネットが普及し、簡単にしかも瞬時に海外と交流・情報交換ができるようになったのは感慨深いことである。

また、IOPはその他の精神医学部門や心理学部門、各専門医療福祉教育サイドからのセミナーやミーティングなどがほぼ毎日、時には一日に数個も行われている。海外やイギリス国内から専門分野の第一人者による講演やシンポジュームなども毎月のように行われている。IOPの学生なら原則としてどのセミナーやミーティング、講演やシンポジュームにも参加できるのである。また、グラウンドラウンドという毎週金曜日のケースカンファレンスでは、実際患者さんを招いて面接を実演したりして、いつもホットな討論で盛り上がっている。このようなことから、児童精神医学部門に所属する学生であっても成人精神医学や司法精神医学、老年精神医学など多彩な精神医学を少しでも学ぶことができるのである。

今ようやく厚生労働省や各医学会が合同協議して専門医の教育システムを構築しようとする機運が高まってきている。私も一日も早く日本にもこどものこころを診療する専門医を教育するシステムができて欲しいと願っている。しかし、今直ぐにでも児童青年精神医学の臨床を系統的に且つ実践的に学びたいと希望する者にはIOP PgDip で研修を受けるのが良いだろう。児童青年精神保健に関する調査研究やシステムについて研修を希望する者にはMSが相応しいと考えられる。また、海外留学は単に専門分野の資格を獲得するだけのものではなく、辛い研修を受ける中でさまざまな人間関係を作ることも大切なことである。このような人間関係はそれぞれが帰国してからも継続するものであり、いつまでも支え合えるものである。今後も多くの日本人が海外で学び、こどもを取り巻く精神保健のネットワークがより充実することを願うものである。IOPホームページアドレスは以下の通り。さあ、思い切って君もアクセスしてみよう!

http://www.iop.kcl.ac.uk/

 

 

 参考文献

 吉川和男:世界の精神医療と日本・英国.こころの科学109号:31-35.2003.

 井上登生:Diploma Course in Child and Adolescent Psychiatryの紹介-ロンドン大学における小児精神医学部門のトレーニングの状況-.小児の精神と神経28():61-70.1988.

 氏家武:もっとこどものこころを診たい.小児科診療67():484-485.2004.

 

 表1  Diploma Courseのプログラムの内容

 第1期(9月下旬~12月下旬)

1.(a)導入(1)

    Diploma Courseの概要

イギリス人の生活

こどもの精神保健福祉サービス

精神保健法

こどもの福祉権利条約など

b)導入(2)

   児童精神科における病歴聴取の仕方

疫学と統計学

診断と分類

精神保健における比較文化的観点

2.評価の基礎

    こどもの発達評価-小児医学の観点から

    神経精神医学的評価

    家族評価-精神医学的観点から

    家族評価-家族療法の観点から

    構造面接による評価

    教育評価における基本原則

    心理検査による評価の原則

3.こどもの精神心理学的発達

    愛着

    情緒発達・他者理解

    道徳の発達

    認知発達

    言語発達

4.リサーチに関する基本的知識

    データベースの処理方法

    統計学

5.児童青年精神科疾患の病因

    家族の影響

    愛着の臨床的問題

    児童虐待と不適切養育

    精神障害を抱える親の影響

    リスクと弾性・危険因子に対する反応

    感覚障害

    言語の障害

    遺伝

    脳性麻痺

 

第2期(1月初旬~3月下旬)・第3期(4月上旬~9月下旬)

1.児童青年精神科疾患

    うつ病

    自傷行為と自殺

    情緒障害と登校拒否

    性的問題

    薬物依存

    身体疾患の精神医学的側面

    読字障害

    青年期に特有の疾患

    被災時のメンタルヘルスとPTSD

    強迫とチック

    精神病・統合失調症

    てんかんとそれに伴うメンタルヘルス

    不安障害

    知的障害

    夜尿と遺糞

    攻撃性と怠慢

 

2.治療アプローチ

    こどもとのコミュニケーションのとり方

    行動療法

    家族との関係の持ち方

    強迫性障害と認知行動療法

    ペアレント・トレーニング

    薬物療法

    臨床実習

 

3.臨床技法に関するワークショップ

    摂食障害

    学習障害

    多動

    強迫・チック

    行為障害

    広汎性発達障害/自閉症

 

4. 精神保健サービス

    精神保健サービスと医療の評価

    司法精神医学

    精神保健サービスの教育

    精神保健サービスの計画

 

5.試験

 

  

表2  Diploma Courseの週間プログラム予定(例)

 

月曜日

火曜日

水曜日

木曜日

金曜日

講義(1)

例)統計学

臨床日(一日):

自分の所属する臨床チームの診療に参加する。

講義(3)

例)ピアジェの発達理論

講義(4)

例)こどものうつ病

抄読会(1)

抄読論文は事前に指定あり。

講義(2)

例)診断面接

施設訪問:グループホーム、児童相談所など

病院訪問:ベスレム病院、こども病院など

抄読会(2)

一人一編必ず担当する。

 

  

3  Mscのプログラムの内容

 

1.導入

  Mscの概要

イギリス人の生活

こどもの精神保健福祉サービス

精神保健法

 児童精神科における疫学・統計学・診断と分類

 

2.統計学の基礎

 

3.リサーチに関する基本的方法論

 

4.児童青年精神科疾患の病因

 

5.こどもの精神心理学的発達

 

6.児童青年精神科疾患

 

7.治療アプローチ

 

8.精神保健サービスの評価とモニタリング

 

9.リサーチプロジェクト(児童青年精神保健に関する調査研究の計画・実施・論文化)

 

10.試験