こども心療内科ってなに?

 私が「こども心療内科」を標榜して診療を始めてからもう20年(1999年に北海道こども心療内科氏家医院を開設し、2017年に氏家記念こどもクリニックに移転しました!)が経ちました。おとなのこころを診てもらうには精神科がありますが、当初はこどものこころを専門に診療する科はまだ正式にはどこにもありませんでした。当時は小児科や精神科の先生でこどものこころに関心がある先生が一部の時間を割いて診療にあたっていました。しかし、最近ようやくこどものこころを診る専門医が全国に少しづつ増えてきています。このような専門医は人によっては児童精神科や小児精神科と名乗ったりしていますが、私は「こども心療内科」という名称を選びました。

 では、何故「こども心療内科」なのでしょう?それはこどものこころとからだは一体であり、どんな病気に対しても心身両面からの診療がとても大切だからです。

 そもそも心療内科は人のからだにばかり目を向けて一番大事なこころを診ることを忘れた現代医学の反省から生まれました。科学と技術のめざましい進歩により人のからだの成り立ちが解明され、次々と新しい病気が発見されたりすばらしい治療方法が生み出されました。しかし、現代の医学はあまりにもからだの細部に目が行き過ぎて、人のこころを診る目を失う危険に陥ってしまったのです。最近注目されている心療内科は、もう一度人を全体的に捉えて包括的な診療を実践しようと考える心身医学から生まれた新しい分野なのです。

 人のからだはこころの緊張や不安の影響を受けて異常が生じることがあり、それらがもとでからだそのものに病気や変化が生じることがあるのです。心療内科ではこれを心身症と呼んでいます。例えば喘息や胃潰瘍などのようにもともとからだの病気でありながら、その発症や経過にストレスが強く関与していると考えられるような場合です。

 特に、発達途上にあるこどものこころとからだは未分化です。こころで感じとるはずのストレスが容易にからだの異常や変化として現われやすいのです。こどもはある程度の年齢になるまで自分のこころのあり様や気持ちをおとなのようにはっきりと意識したりコントロールすることができません。自分がおかれた状況に流されたり、周囲の変化に強く影響を受けるのです。

 今、生活環境が急速に変化し次世代を担う大きな期待を背負わされたこどもたちにとって、こども心療内科の果たす役割はとても大きいと思うのです。